経営者が退任したり、
組織が買収されたりするとき、
企業は大きく揺れます。
誰が舵を取るのか、
どんな方向へ向かうのか──
不安と混乱が生まれる瞬間です。
しかし、そんな変化の中でも
不思議と変わらないものがあります。
それは「企業文化」、すなわち
“組織のDNA”と呼べるような要素です。
—
ロードプロファイル
喜多庸元(きた のぶゆき)です。
IT企業経営とICT顧問をしています。
●なぜこのテーマにこだわるのか?
私はこれまで、多くの組織で
経営者交代や人材の流動を見てきました。
その中で感じるのは、
「結局、残るものは何か?」
という問いの重要性です。
制度や戦略、事業モデルは変わります。
しかし、企業の“空気感”や“判断基準”には、
なぜか一貫性があることが多いのです。
●組織文化を支える“核”──それは「共通言語」と「価値観」
ゆるぎない企業文化は、
スローガンやロゴから生まれるのではありません。
それは、社員同士が
当たり前のように使う「言葉」と
「判断の基準」から形成されます。
たとえば、アウトドアブランドの
パタゴニアは経営者が変わっても
「地球を救う」という価値観が揺らぎません。
ラグジュアリーホテル
リッツ・カールトンでは
「クレド(信条)」が、世界中の
ホテルで一貫した体験を支えています。
これらはすべて、
組織内で共有されている
“共通言語”の力です。
●共通言語がない組織に起きること
一方で、
共通言語が根づいていない組織では、
以下のような問題が起こりやすくなります。
・意思決定の質がバラつく
・人材育成が属人的になる
・理念と現場の行動が乖離する
・顧客や取引先に対する企業イメージがブレる
共通言語は、
単なる言葉遣いではありません。
それは
「組織の思考プロセスそのもの」
なのです。
●どうすればゆるぎない企業文化が形成されるのか?
鍵となるのは、理念やビジョンを
「現場の言葉」に翻訳することです。
単なる掲示物ではなく、
日々の会話やフィードバックの中で
使われる必要があります。
また、
強みを活かすマネジメントや、
判断基準の共有によって、
「なぜその行動をするのか?」
が語られるようになります。
例えば、トヨタは「現地現物」
「カイゼン」といった共通言語を、
日々の現場で使い続けています。
この言葉が社員の考え方となり、
行動となり、結果として
世界中のどの工場でも、トヨタらしい
品質と改善文化が保たれているのです。
●企業文化は“感覚”として継承される
人は言葉を通じて、感覚を共有します。
だからこそ、
「なぜこの仕事をするのか?」
という問いが、
日常に存在する組織は強いのです。
チェックリストやツールよりも、
「らしさ」や「肌感覚」が
文化を継承します。
そして、それが外から見たときの
企業イメージそのものになるのです。
●共通言語はどうやってつくるのか?
では、自社の共通言語を
どうやってつくればよいのでしょうか?
正直に言えば、
これは容易なことではありません。
時間もかかりますし、
組織全体を巻き込んだ対話と
実践の積み重ねが必要です。
トヨタやリッツ・カールトンも、
長い年月をかけて文化を育ててきました。
しかし、ゼロから始める必要はありません。
すでに体系化された
フレームワークを導入することで、
時間を大幅に短縮することができます。
例えば「才能経営®︎」という
フレームワークを導入すれば、
人材に対する考え方についての共通言語を、
組織に素早く根づかせることができます。
どんな共通言語を持つにせよ
大切なのは、その言葉が日常の中で使われ、
判断の基準となることです。
●今、自分たちの“共通言語”は何か?
あなたの組織では、共通の
価値観や言語が意識されていますか?
それは社内だけでなく、
社外にも伝わっているでしょうか?
理念を語るだけでなく、
行動の根っこにある“感覚”として
定着しているか。
ゆるぎない企業文化を築くために、
いまこそ問い直すときかもしれません。
(一社)日本適性力学協会
認定WDコンサルタント
喜多庸元
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